物語
著名なチェリストのチジョフとDJ志望の青年トリクは、雪に覆われたモスクワの大通りでパジャマ姿の裸足の宇宙人と遭遇する。そして思いがけずキン・ザ・ザ星雲の惑星プリュクにワープしてしまう。
そこは見渡す限りの砂漠に覆われ、身に着けるズボンの色によって階級が分かれた場所だった。ほとんど「クー!」(名詞・形容詞・副詞・感嘆詞など)しか言葉が存在しない異星人たちを相手に地球に帰ろうと2人は奮闘を始めるのだった。
解説
カルトSF映画の傑作として世界中で多くのファンを生んだ、実写版『不思議惑星キン・ザ・ザ』をゲオルギー・ダネリヤ監督自ら、アニメ化したのが本作だ。社会主義体制の真っ只中で制作された実写版を、レトロ感溢れながらSFタッチの未来を感じさせるアニメで再構築した。“キン・ザ・ザ”界を象徴する釣鐘型宇宙船の浮遊感は、ゲオルギー監督が実写版では再現できなかったアニメならではの珍妙なリアルさを描き出している。
実写版は当時のソ連の政治体制を皮肉めいた視点で描いたと評されたが、『クー!キン・ザ・ザ』は、大きな変革の波にあった現代のロシアを戯画化して風刺する。ゲオルギー・ダネリヤ監督は本作の完成後、2019年に88歳で逝去し、遺作となった。
キャラクター紹介
-
ウラジーミル・チジョフ
世界的に著名なチェリスト。頑固で高いプライドの持ち主。私生活はうまくいってない。街で突然「あなたのおいだ」と言って金を貸してくれと頼んできた青年トリクとともになぜかプリュク星にワープ。人間にも異星人にも厳しいが涙もろい一面も。自分の楽器(チェロ)を愛しておりプリュク星でも手放さない。
-
トリク
DJ志望の青年。モスクワで出会った異星人が持つ”テレポーター”のボタンをうっかり押し、キン・ザ・ザ星雲へワープするきっかけを作った張本人。臨機応変で異星人の「クー!」にも慌てず写真撮影する冷静さを持つ。キン・ザ・ザ界の住人と、ことあるごとに物々交換してなんとか地球に還ろうとする交渉人。
-
ウエフ
チャトル人。プリュク星で権力を持っている。自分より位の低い「パッツ人」のビーといつも一緒にいる。ことあるごとにチジョフとトリクにカツェ(マッチ)を要求する。
-
ビー
パッツ人。チャトル人よりも階級が低い。そのことを示す小さな鈴「ツァーク」を常に鼻に付けている。いつもチャトル人のウエフと一緒にいて何かと助けている。「パッツ人はチャトル人に“クー”しろ」とチジョフを諭す。
-
アブドラクス
ロボット。プリュク星の砂漠の地面を掘って移動することができる。ウエフとビーと一緒に釣鐘型宇宙船で移動している。時に姿をくらます。
-
ペジェ様
プリュク星の偉大なる統治者。突然姿を現してはプリュク星の住人すべての尊敬を集めている。
-
パッツ人の老夫婦
(名前は不明)音楽大好き。六輪車に乗って高速移動する。演奏が気に入らないと地球人の頼みは聞いてくれない。
-
エツィロップ
(警官)プリュク星で皆に恐れられている存在。チャトル人もパッツ人も出会ったら必ず「クー!」しないといけない。そうでないと危険な目に合う。
-
フィチュルカ
(命名:トリク)チジョフがチェロを弾いていると「チキタチキタ…」と言いながら楽しそうに近づいてきたかわいらしい生き物。詳細不明。
-
リダ・リヅァキナ
トリクの幼馴染。
キン・ザ・ザ星雲
惑星プリュクについて
【プリュク星の社会構造】
この惑星の全住人がパッツ人とチャトル人に分けられている。だが見た目では区別がつかないため識別器が設計された。これをパッツ人に向けると緑色、チャトル人に向けるとオレンジ色に点灯する。便利な機械だ。またチャトル人はプリュク星の先住民とされているためパッツ人より身分が高く、パッツ人は「ツアーク」と呼ばれる鈴を鼻につけつけ、チャトル人の前では自分の頬を叩き、膝を曲げて「クー」と言わねばならない。社会的地位はズボンの色により区別される。緑色は下級者、黄色は偉い人、そして赤いズボンはエリートだ。赤ズボンを履いた者の前では、パッツ人だけでなくチャトル人でも「クー」しなければならない。そしてエツィロップにも赤ズボンを殴る権利は決してない。
【プリュク星の言語】
- キュー
- すべての罵倒語
- クー
- それ以外のすべての言語
言語はこの2語だけしかない。ただし、プリュク人はテレパシー能力に優れ、地球人の脳をスキャンして思考を読み取り、たちまちにして言語が習得できる。ロシア語の会話もあっという間に自由自在にこなせるようになる。
【プリュク星の暮らし】
- ツァーク
- パッツ人であることを示すため、鼻に付ける小さな鈴。
- チャトル
- 通貨。不定形の小さな金属片。
- カツェ
- 地球のマッチ。なぜかこの惑星では非常に貴重品であり、実質上の通貨となっている。数多く持っていればいるほど尊敬される。
- ペペラッツ
- 宇宙船。釣鐘状でプロペラを回転させて飛行する。
- グラビツァーパ
- ペペラッツを移動させるための加速器。
- ルツ
- ペペラッツを動かすための燃料。今は枯渇してしまった水から作られている。
- エツィロップ
- 権力者、警察官。(トリビア:ECILOPはPOLICEを逆さ読みにしたもの)
- エツィフ
- 囚人を収容する小さな箱。エツィロップが管理し、囚人に呼吸させるために時々蓋を開ける。
声の出演
-
ニコライ・グベンコ Nikolay Gubenko
ウラジーミル・チジョフ役
全ソ国立映画大学卒業後、1961年に『私は20歳』(マルレン・フツィエフ監督)で映画デビュー。俳優や監督・脚本家として活躍。セルゲイ・ボンダルチュク監督作『祖国のために』(1975年)に俳優として出演。監督・脚本作に “Life, Tears and Love(…人生も、涙も、愛も)”(1984年)等。ソビエト崩壊直前の1989年11月から1992年まで第7代ソビエト連邦文化大臣を務めた。
-
イワン・ツェフミストレンコ Ivan Tsehmistrenko
トリク役
本作製作開始時はモスクワ郊外の高校生だった。
収録中に高校を卒業し、兵役に服し終了した。 -
アンドレイ・レオノフ Andrey Leonov
ウエフ役
実写『不思議惑星キン・ザ・ザ』でウエフを演じたエヴゲーニー・レオノフの息子。13歳で“Racers”(1973年/イーゴリ・マスレンニコフ監督)で映画俳優デビュー。その後舞台に専念。1997年ロシア功労芸術家の称号を授与される。TVドラマシリーズ“Papiny dochki(パパの娘たち)”(2007年)で主役を演じロシア国内で大変な人気を博す。
-
アレクセイ・コルガン Aleksey Kolgan
ビー役
1994年チェルカソフ記念レニングラード国立演劇・音楽・映画大学卒業。米ドリームワークス社最大のヒット映画『シュレック』シリーズ(2002年アカデミー賞長編アニメーション賞ほか多数受賞)のシュレック役の吹替を担当。同社に“シュレックを演じた最高の声優”と認められハリウッドからもオファーを受ける。200作以上の外国映画やアニメ映画の吹替を担当し、映画俳優、声優、歌手としても活躍。
監督
ゲオルギー・ダネリヤ Georgiy Daneliya 1930年~2019年
ジョージアのトビリシ出身。建築を専攻した後に、1959年よりモスフィルムにて映画演出の道に入る。デビュー作の“SERYOZHA”(イーゴリ・タランキンとの共同監督/1960年/日本未公開)が、世界最古の歴史を誇るチェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でグランプリを受賞。“AFONYA”(1975年/日本未公開)では、当時のソビエト連邦全土で6,220万人動員という快挙を成し遂げた。1986年に公開された『不思議惑星キン・ザ・ザ』は、カルト映画の傑作として世界中にファンを獲得し、完成から30年以上を経ても、世界各地で見られ続けている。2019年4月4日、肺炎のため88歳の生涯を閉じ、『不思議惑星キン・ザ・ザ』のアニメ版映画『クー!キン・ザ・ザ』が遺作となった。
タチアナ・イリーナ(監督・脚本) Tatyana Ilina 1960年~
1984年、アニメーション作品の製作で知られる<ソユーズムリトフィルム>で、アート・ディレクターとしてキャリアをスタートさせる。フィルモグラフィに、“The Nutcracker and the Mouse King”(『くるみ割り人形とねずみの王様』/2004年/ロ シア金鷲賞2005最優秀アニメーション賞受賞/日本未公開)等あり。
海外評・コメント
-
銀河の最果ての惑星の異星人たちのシュールな描写!
乾燥した異星人たちの世界の不毛な景色が、私たち人類のダークで生きづらい現在を鋭く撃ち抜くcinevue
-
『不思議惑星キン・ザ・ザ』から引き継がれるおかしなキャラクターたち、美しく時に実験的なアニメーションのスタイル。ロシア社会への批評と複雑なSF世界の探求がクール!
FLICKFEAST
-
エキゾチックなキャラクターデザインとデジタルの融合。
コミカルな異星人の動きやキャラクターは、『スター・ウォーズ』に登場する砂漠の惑星「タトゥイーン」のパロディか!Hollywood REPORTER
-
うっかり別の惑星に飛ばされてしまうという、究極の誤配。
DIYの宇宙船や荒涼たる廃墟の描写が美しく、心の余裕を失った現代人の主人公たちの姿を、コミカルかつアイロニカルに浮き彫りにしている。上田洋子 さん(<ゲンロン>代表)
-
名作の焼き直しにあらず!
スピーディな展開と素晴らしいアートワーク、イマドキのセンスで作られた、言わば「21世紀のキン・ザ・ザ」。旧作と並んでカルトの王座につくにふさわしい、新たなる名作だ!高野史緒さん(作家)
-
クー!ロシアの雑踏が耳の中に入ってきて、あっという間にあの『キン・ザ・ザ』の世界にさらわれてしまう。チューニング完了。嬉しみ。お馴染みのツアー!悦びながら彼等と星を巡る。愛おしすぎる。2Dから3D...あれ?4Dだよコレ!私はワープシマシタヨ!
友沢ミミヨさん(漫画家・イラストレーター)
-
「なぜアレをわざわざアニメ化?!」と最初思ったが、
「スター・ウォーズもアニメ化してるしな!」と妙に納得。
あの『不思議惑星キン・ザ・ザ』を同監督がアニメで再構築。
何が残って、何が足されたか?
それによって理解は深まる…のか?!!ピエール瀧さん(電気グルーヴ)
-
異星人の行動と反応はいつも予想とズレていて不条理で、でもみんなしたたかにマイペースにやり過ごす。
地球人同士だって他人は常に不可解で、きっとずっと交わらない。
でも「クー」という最短の言語だけは、クーだよ!山村浩二さん(アニメーション作家)
グッズ
Sister × キン・ザ・ザ コラボTシャツ
数々の映画作品とコラボレーションをしてきた
セレクトブティック「Sister」とキン・ザ・ザのコラボが実現!!
※ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺のみでの取り扱いになります。
-
【Sister × クー!キン・ザ・ザ】
T-shirtWhite or Black ¥4,950-(tax in)
Size : S , M , L , XL -
【Sister × 不思議惑星キン・ザ・ザ】
T-shirtWhite or Black ¥4,950-(tax in)
Size : S , M , L , XL
キン・ザ・ザ オフィシャルTシャツ
※ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺のみでの取り扱いになります。
-
-
『クー!キン・ザ・ザ』
公式クー!T-shirtSand ¥3,500-(tax in)
Size : S , M , L , XL -
『不思議惑星キン・ザ・ザ』
公式ペペラッツT-shirtBlack ¥3,500-(tax in)
Size : S , M , L , XL
-
上映情報
都道府県 | 劇場 | 電話番号 | 公開日 | 不思議惑星 キンザザ上映 |
---|---|---|---|---|
東京都 | ヒューマントラストシネマ有楽町 | 03-6259-8608 | 上映終了 | 〇 |
東京都 | アップリンク吉祥寺 | 0422-66-5042 | 上映終了 | 〇 |
東京都 | キネカ大森 | 03-3762-6000 | 上映終了 | 〇 |
東京都 | 目黒シネマ | 03-3491-2557 | 上映終了〜 | 〇 |
東京都 | Morc阿佐ヶ谷 | 03-5327-3725 | 上映終了 | 〇 |
東京都 | 下高井戸シネマ | 03-3328-1008 | 上映終了 | |
神奈川県 | 川崎チネチッタ | 044-223-3190 | 上映終了 | 〇 |
神奈川県 | 横浜シネマジャック&ベティ | 045-243-9800 | 上映終了 | 〇 |
神奈川県 | あつぎの映画館kiki | 046-240-0600 | 上映終了 | 〇 |
神奈川県 | CINEMA AMIGO | 046-873-5643 | 上映終了 | 〇 |
埼玉県 | 川越スカラ座 | 049-223-0733 | 上映終了 | 〇 |
北海道 | シアターキノ | 011-231-9355 | 上映終了 | 〇 |
宮城県 | チネラヴィータ | 022-728-7866 | 上映終了 | 〇 |
栃木県 | 宇都宮ヒカリ座 | 028-633-4445 | 上映終了 | |
栃木県 | 小山シネマロブレ | 050-3196-9000 | 上映終了 | |
群馬県 | シネマテークたかさき | 027-325-1744 | 上映終了 | 〇 |
静岡県 | 静岡シネ・ギャラリー | 054-250-0283 | 上映終了 | |
愛知県 | シネマスコーレ | 052-452-6036 | 上映終了 | 〇 |
愛知県 | 刈谷日劇 | 0566-23-0624 | 上映終了 | 〇 |
長野県 | 上田映劇 | 0268-22-0269 | 上映終了 | 〇 |
新潟県 | シネウインド | 025-243-5530 | 上映終了 | |
富山県 | ほとり座 | 076-422-0821 | 上映終了 | |
石川県 | シネモンド | 076-220-5007 | 上映終了 | 〇 |
大阪府 | シネ・リーブル梅田 | 06-6440-5930 | 上映終了 | |
大阪府 | シネ・ヌーヴォ | 06-6582-1416 | 上映終了 | 〇 |
京都府 | アップリンク京都 | 011-231-9355 | 上映終了 | 〇 |
京都府 | 京都みなみ会館 | 075-661-3993 | 上映終了 | 〇 |
兵庫県 | 元町映画館 | 078-366-2636 | 上映終了 | 〇 |
兵庫県 | 豊岡劇場 | 0796-34-6256 | 上映終了 | 〇 |
兵庫県 | ヱビスシネマ | 0795-88-5910 | 上映終了 | 〇 |
兵庫県 | 塚口サンサン劇場 | 06-6429-3581 | 上映終了 | |
岡山県 | シネマ・クレール | 086-231-0019 | 上映終了 | 〇 |
広島県 | 横川シネマ | 082-231-1001 | 上映終了 | 〇 |
広島県 | シネマ尾道 | 0848-24-8222 | 上映終了 | 〇 |
大分県 | シネマ5 | 097-536-4512 | 上映終了 | 〇 |
大分県 | 日田シネマテークリベルテ | 0973-24-7534 | 上映終了 | 〇 |
佐賀県 | シアターエンヤ | 0955-53-8064 | 上映終了 | 〇 |
熊本県 | Denkikan | 096-352-2121 | 上映終了 | 〇 |
宮崎県 | 宮崎キネマ館 | 0985-28-1162 | 上映終了 | 〇 |
鹿児島県 | ガーデンズシネマ | 099-222-8746 | 上映終了 | 〇 |
沖縄県 | 桜坂劇場 | 098-860-9555 | 上映終了 | 〇 |